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成果につながる企画には、必ず「顧客視点」のマーケティング設計があります。その理由は、顧客の行動や感情に基づいた分析によって、ニーズと共鳴するプランが実現できるからです。
この記事では、プロの企画担当者が実践するターゲット分析の基本とステップを、事例を交えてわかりやすく解説します。

目次
なぜ企画には「顧客視点マーケティング」が必要なのか
商品やサービスの良さをしっかりと説明したつもり、さらには「このコンセプトで絶対売れる!」と確信をもった商品だったはずが、「イマイチ響かない」「反応が薄い」と感じた経験はありませんか?
それは、「伝えたいこと」と「伝わること」の間にギャップがあるからかもしれません。このギャップを埋めるために必要なのが、「顧客視点」のマーケティングです。
つまり、「売る側の都合」ではなく、「買う側の心理」から企画を考え、さらには消費者向けへ「発信」することが重要なのです。
伝わらない企画が生まれる理由
「これ、ウケると思ったのに…」そんな企画が滑ってしまう原因の多くは、主観だけで企画をつくってしまったことにあります。
例えば、商品特性や機能ばかりを強調しすぎて、「誰の」「どんな悩みや願望」に応えるものなのかが曖昧だと、読み手・聞き手には伝わりません。
伝わらない企画の共通点は、以下のようなものがあります。
- 企画側の都合や想いばかりが詰まっている
(一見よさそうに見えますが) - 顧客の目線や行動シーンが想像されていない
- 受け手の感情を動かすストーリーが抜けている
これは、「発信の問題」ではなく、そもそもの「企画設計」の段階で、顧客の存在が置き去りになっていることが根本原因です。
企画を「顧客視点」で作るとなぜよいのか?
顧客視点を取り入れた企画には、いくつもの実践的なメリットがあります。
単に「良い商品・サービスを紹介する」というだけでなく、受け手の行動や感情を動かす設計が可能になるのが最大の特徴です。
顧客視点における具体的な3つのメリット
- 顧客の課題や願望に寄り添ったメッセージが届けられる
➡︎「欲しい」と思うタイミングや理由にフィットした伝え方ができるようになります。 - ターゲットの反応や行動を予測しやすくなる
➡︎ ペルソナや行動導線を踏まえることで、設計や施策の精度が高まります。 - 成果(問い合わせ・購入・来店など)につながりやすくなる
➡︎単なる発信で終わらず、「行動」へと結びつく導線設計が可能になります。
とくに中小企業や個人事業のように、限られたリソースで施策を進める現場においては、「どれだけ多く発信するか」よりも、「どれだけ深く届くか」が成功のカギになります。
単に「良い商品・サービスを紹介する」というだけでなく、受け手の行動や感情を動かす設計が可能になるのが最大の特徴です。
メリットを最大に活用する「ベネフィット変換」伝わり方が劇的に変わる!
ここで大切になるのが、「ベネフィット変換」という考え方です。
「商品やサービスの機能・特徴」→「それによって得られるメリットや変化」に置き換えるという発想です。
実際の例がわかりやすいので、具体例で「ベネフィット変換」をみてみましょう。
商品・サービスの特徴 | ベネフィットに変換すると? |
抗菌素材の靴下 | 子どもが汗をかいてもニオイが気にならない安心 |
月額制のオンライン講座 | 忙しくてもスキマ時間に、自分のペースで学べる |
軽量ノートPC | (軽量で)持ち運びノーストレス どこでも作業できて、仕事効率アップ |
売り手が伝えたいのは「商品説明」かもしれませんが、買い手が知りたいのは「自分にとってどんな嬉しいことがあるか」です。
とくに消費者の購買行動を意識するなら、ユーザーはまず「自分の悩みや課題を解決してくれる商品はないか?」という視点で情報を探しています。
つまり、機能(=解決方法)よりも前に、価値(=悩み・願望)に反応しているのです。
ベネフィットを起点にした発信は、商品やサービスが「自分ごと」として届くきっかけになり、結果として選ばれる確率を高めることにつながります。
【企画とは?サクサク進む企画のポイント】の記事で
「ユーザーベネフィットに変換する」方法として解説しています。こちらもお読みください。
ターゲット分析とは?マーケティング企画の出発点
マーケティングにおいて「誰に届けるか」が曖昧なままでは、どんなに良い企画でも的外れなものになってしまう可能性があります。
ターゲット分析は、企画の「芯」をつくるための最初の工程であり、後の全体設計に大きく影響する重要なステップです。
例えば、同じ「新商品をPRする企画」であっても、若年層向けとシニア層向けでは打ち出し方も使う言葉もまったく異なります。
まずは「誰に届けたいのか」を定めることで、伝えるべき価値やトーン、使うチャネルまでが明確になり、企画全体の一貫性が生まれます。
ターゲット=「届けたい相手」を明確にする
「ターゲット」とは、マーケティングや企画で最も優先して届けたい相手のことを指します。
ここでいう「相手」は、単なる年齢や性別などの属性ではなく、生活背景や価値観、感情までを含めた具体的な人物像です。
例えば、「30代女性」という表現より
「30代女性で、共働きで小学生の子どもを育てている、平日の夜に時短調理が必要な女性」まで具体化すると、その人に「何を伝えるか」「どのように響かせるか」の方向性が定まりやすくなります。
ターゲットを明確にすることで、以下のようなメリットがあります。
- 企画の軸がブレにくくなる
- 選ぶ言葉や表現が鋭くなる
- 情報の届け先が明確になる(広告・SNS・チラシなど)
このようなメリットは実務上の判断がしやすいのはもちろんのこと、チーム内での共通認識が生まれ、表現の齟齬が最小限に抑えられます。
ペルソナとカスタマージャーニーの違いと活用法
ターゲットを深く理解するための代表的な手法に、「ペルソナ」と「カスタマージャーニー」があります。
この2つは混同されがちですが、役割と使い方が異なります。
手法 | 目的 | 内容 | 活用場面 |
ペルソナ | 誰に届けるかを明確にする | 典型的な顧客像を1人の人物として設定(例:35歳女性/2児の母/時短志向) | メッセージ・企画立案時の判断基準として使う |
カスタマージャーニー | その人がどう動くかを可視化する | 購買・接触までのプロセス(認知→比較→購入→体験)を整理 | 接触タイミングや導線設計に使う |
ペルソナは「この人に向けて企画する」という軸を定めるもの、
カスタマージャーニーは「この人がどんなステップで行動するか」を設計する地図のような存在です。
この2つを組み合わせて使うことで、より実践的な顧客理解が可能になり、
「思いつきのアイデア」ではなく、「実際に届く・動く」企画が組み立てやすくなります。
またよく混同されがちな言葉として「ターゲット」もありますが、「ターゲット」についての詳細はこちらの記事をお読みください。
デジタルマーケティングでよく聞く「ペルソナ」とは?
企画立案の基本のき「ターゲット分析」のステップ
ターゲット分析は、ただ「誰に売るか」を決めるだけの作業ではありません。
マーケティングや企画の「判断軸」を明確にする工程として、企画立案の初期段階から丁寧に行うことが重要です。
ここでは、現場でも実践しやすい4つのステップに分けて、シンプルに分析を進める方法を解説します。
① 企画目的の設定:何のための分析か明確にする
まず最初に行うべきことは、「なぜこのターゲット分析をするのか?」という目的の明確化です。
- 新商品や新サービスの立ち上げ?
- 既存サービスのリブランディング?
- キャンペーンの反応率向上?
目的によって、分析すべき情報の種類や深さは変わります。
「この企画で誰のどんな行動を促したいのか」を明確にすることが、ターゲット分析のスタートラインです。
(例)
チラシの配布先を選定するための分析と、Web広告のコンバージョン改善のための分析では、重視すべきポイントが異なります。
② 情報収集:アンケート・SNS・現場の声など
目的が定まったら、次は情報収集フェーズです。
ここでは「ターゲットになりそうな人が、何を考えているか・何に困っているか」を掴むために、できるだけリアルな声や行動データを集めます。
代表的な情報源
- 既存顧客へのアンケート・ヒアリング
- SNS上の投稿や口コミ(X、Instagram、レビューサイトなど)
- 店舗スタッフ・営業・カスタマーサポートからの現場の声
- GoogleやYouTubeなどでの検索トレンド
表面的な属性(年齢・性別)だけではなく、行動背景や感情、日常の困りごとなど、深堀りした情報を意識的に拾っていくことがポイントです。
③ セグメント分けと優先順位の設定
集めた情報をもとに、「どの層に向けて企画を最適化するか」を考えます。
すべての人に向けた発信は「結局誰にも響かない」ため、具体的なターゲットグループにセグメントを絞ることが必要です。
例えば、次のように細分化できます。
属性 セグメント例
ライフステージ | 未就学児の親、子育て終了後の40代女性 など |
購買動機 | 価格重視層/ブランド志向層/安心・安全重視層 |
購買動機 | 行動傾向 リピート率が高い層/初回購入のみの層 な |
その中で、「どのセグメントが自社にとって最も成果につながるか(=LTVや反応率)」を検討し、優先順位をつけていくことが、次の戦略設計の基盤になります。
④ 共感ポイントの抽出とメッセージ変換
ターゲットセグメントが定まったら、次はその人たちが思わず「わかる」と感じる言葉に置き換える段階です。
ここで重要なのが、「商品やサービスの機能」ではなく、それによって変わる「感情・体験」に訴える表現です。
(例)
機能ベースの表現 | 共感に訴える表現(感情ベース) |
「予約なしで受診できます」 | 「子どもの急な発熱にも、すぐ診てもらえるから安心」 |
「高性能な防水仕様」 | 「急な雨でもバッグの中身を気にせず動ける」 |
「1クリックで注文完了」 | 「忙しい朝でも、通勤電車でさっと注文できて助かる」 |
このように、ユーザーの行動・生活シーン・感情の流れを想像しながら変換することで、
「この人は、私のことをちゃんとわかってくれてる」という信頼につながります。また、伝え方のトーンも大切です。使用シーンにもよりますが、ビジネスやBtoC事業では砕けすぎない印象で、一般消費者向けのBtoCでは、柔らかく、自然な口調・日常の言葉に近い表現の方が、共感を得やすいケースが多くなります。
顧客視点で伝える「刺さる企画」のつくり方のポイント
いくら優れた商品やサービスでも、それが「欲しい」や「自分事」と思われなければ行動にはつながりません。
ここでは、顧客視点で「伝え方」を工夫し、実際に行動を引き出す企画づくりのポイントを3つに絞ってご紹介します。
1.「買いたい」と思わせる言葉選び
企業側として売りたい気持ちは理解できますが、企画や広告でありがちなのが、「私たちはこれを提供できます」という企業視点の表現。
しかし、消費者が求めているのは、「これ、自分に必要かも」と思えるような買いたくなる言葉です。
たとえば:売り手目線の表現 買い手目線に変換すると…
(売り手)高機能な除湿機です➡︎(買い手)洗濯物が早く乾いて、部屋干しのニオイも気にならない
(売り手)月額980円で使い放題 ➡︎(買い手)無駄なく使えて、1日たったの約30円
(売り手)3WAYで使えるバッグ➡︎(買い手)両手が開くから子供と手がつなげる
言葉を選ぶときは、「この機能がある」ではなく「この機能があるから、あなたの生活がどう良くなるか」を意識することが大切です。
この視点の変換が、まさに「伝える」から「響かせる」への第一歩になります。
2.インサイトを意識する
行動を引き出す「企画」に欠かせないのが、「インサイト(=無意識の本音)」の理解です。
人は、「自分で気づいていないけど、言われると納得する本音」に突き動かされることが多いものです。
たとえば:
「疲れているけど、自分にご褒美をあげるのはちょっと気が引ける」
➡︎「“家族のため”に買ったつもりが、自分も癒された」商品コピー
「周りと比べて劣っていると思われたくない」
➡︎「選ばれている人が、実は密かに使っている〇〇」
こうしたインサイトは、調査データだけでは見えにくい部分です。
日々の顧客対応やSNSでのつぶやき、ちょっとした一言の中にヒントが隠れています。
インサイトに刺さる企画は、「欲しい」ではなく「今すぐ行動したい」と思わせる力を持っています。
だからこそ、感情を動かす視点を企画の根本に置くことが重要です。
まとめ:企画は「共感の起点」からはじまる
ターゲットを深く理解し、顧客視点で価値を伝える企画には、人の心を動かす力があります。
「売りたいこと」ではなく、「届けたい相手が求めていること」に焦点を当てることで、限られたリソースでも、届く・伝わる・動かす企画が実現できます。
企画の出発点はいつも、「この人に、本当に必要なものは何だろう?」という問いや「この人の○○をどうにかして解決してあげたい」という思いから。
商品やサービスの先にいる「人」である消費者を見つめ直すことで、アイデアの解像度はぐっと高まり、施策全体の一貫性も強まります。
まずは、小さなところからでもOKです。「このメッセージ、相手にとってどんなベネフィットがある?」と自問してみることから、刺さる企画づくりは始まります。
「何となく発信しているけど、反応がイマイチ…」
「誰に向けた企画なのか、毎回ブレてしまう…」
企画やターゲット設計にお悩みの方へ
俯瞰した目線で、企画の基礎設計を見直すことで、驚くほど伝わりやすく、動きやすい施策へと変化することがあります。
ぜひお困りの経営者の方やマーケティング担当者の方は一度ご相談ください。
課題が潜在的でも丁寧にヒアリングさせていただきます!

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